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凜恋心【最遊記】

第13章 赤きリコリス


「それで…?あの、さっき言っていた天人様って一体何者なんですか?」
「天上にとても近い優れたお方なんです。でも…人ではない…」
「妖怪…か」
「はい。一年に一度、年頃の娘を天人様に差し出せばこの村も安泰に平和に過ごせれるんです。でも…差し出さなければ…この村は一瞬で滅びる…」
「差し出さなかったときがあるんですか?」
「もうずいぶんと昔の頃です。ずっと言い伝えられてきているので…実際に滅びるところをみたものは今では私を含めてほんの数人です。」
「でも生き残ってはいるんだな」
「本当に幼かったので…物陰に隠れて…なんとか生き延びた…と言った方がいいのかと…」
「どちらにしろ、あの少年すら警戒するとなると、もうじきなんですか?」
「はい…明日……天人様はやってきます。そして今回差し出されるのが…翠嵐の姉、白明です。」
「あの…!」
「はい?」

ずっと黙っていた雅が急に手を小さく挙げて問いかけた。

「天人様って、誰が生け贄と言うか…差し出されるかって知らないんですか?」
「えぇ…でも前日からその用意は始まるんです。」
「……から…だから妖怪は入れないんだ!!」
「翠嵐!」
「お前らが天人の仲間じゃないなんて!どうして言いきれるんだ!!」
「三蔵様だぞ!!」
「それで、気になっているんですが…なんで三蔵が来たらその天人様に差し出さなくていいんですか?」
「これもまた昔からの言い伝えでして…」
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