第13章 赤きリコリス
そうして話し始めたのは、天人様の来るタイミングで三蔵法師様が来たときには、天人様を退治してくれる…と言うものだった。
「フン…俺には関係ねぇ話だな…」
「あの…!それじゃぁ…!!私たちは…どうすれば…!!」
「その天人様にでもなんでも娘差し出して村の安泰を今まで通り願うんだな」
「お前…!!やっぱり三蔵の皮被った妖怪だろう!!」
「よしなさい!翠嵐!!」
「なぁんかある意味的獲た事言ってんなぁ」
「あの…」
そう言って雅はまた問いかける。
「その役、私が引き受けるってのはダメですか?」
「はぁ!?!?」
「何言ってんだ、テメェは…!!」
「翠嵐くん?」
「……なんだよ」
「君は村の事なんか、どうでもいいんだよね?」
「……ッッ」
「お姉ちゃんを…守りたいだけなんでしょ?」
「……それは…」
「だったら早い話だよ?」
「おいおい…」
「それって…雅が天人様に食われちまうのか!?俺!やだよ!?」
「ちょぉっと悟空黙ってて?」
その雅の制止で悟空もグッと息を飲んだ。
「でも、そんな旅のお方にまで迷惑かける事はできないですし。」
「だそうだ、雅」
「まって…村長さんに聞いてないの。私は今この子と話してる。」
そう言い出した雅はまっすぐに翠嵐に目を向けた。