第12章 まっ更な想いと、唇
♢ おまけ ♢
次の日の朝、洗ったものも乾き、朝食もそこそこに終わらせ、全て準備を整えた後、今日こそは村なり街に着ける事を祈って出発しようとしていた。
「それじゃぁ、皆さん、忘れ物はないですね?」
「おぅ!」
「大丈夫!」
「それじゃぁ、出発しますよ?」
そう八戒が言いかけた時だ。
「ちょっと待て」
「どうした?三蔵」
「何か不都合でもありましたか?」
「…雅」
「え?」
助手席に座ったまま右手の人差し指でくいくいっと呼ぶ三蔵。
「何?」
「いいから…さっさとしろ」
「何…?」
身を乗り出し、三蔵に微かに近付くとくるっと向きを変えた三蔵が雅の後首に手を回し、半ば強引に引き寄せた。
「…ッッ…ン」
そのまま唇は塞がれる。しかも皆しっかりと起きて、今から出発しようと言うときだったにも関わらず、だ。
「…さん…ぞ…」
雅はもちろん真っ赤になり、俯いたまま…八戒と悟浄は呆気に取られながらも驚いている。
「いい加減、お前らは手を出すな…」
「…うわ…」
「三蔵…」
「独占欲つえぇ…」
「雅、顔真っ赤だぞ…?」
「……もぉ…」
「…じゃ、行きますか」
嬉しそうな八戒。そのまま次の目的地に向かうべく、ジープを走らせるのだった。