第12章 まっ更な想いと、唇
左腕でしっかりと抱き締めたままの状態で幾度となく重なりあう唇から吐息が漏れだす。
「さ…ン…」
ゆっくりと離れると照らされる三蔵の瞳もまた、雅を写し出していた。
「しっかりと覚えておけ…お前は俺が守る」
「ん…」
雅に背中を向けて『戻るぞ』と伝える三蔵。駆け寄り雅は背中から巻き付いた。
「ん…でも…もぉ少しだけ…二人で居たい…」
「…ハァ…」
そっと回る腕に自身の手を重ねた三蔵だったが、直ぐにその腕を離した。
「三蔵?」
「少なくともまだその体には冷えてくる。戻るぞ」
そういってゆっくりと歩きだした。そんな三蔵の後をゆっくりと着いていく雅。直に三人のもとに着いた二人。しかし、三蔵の表情は苛立ちを隠せなかった。
「…テメェ等…殺されてぇのか…」
「何の事ですか?」
「知ってたんだろうが…雅の居場所…」
「さぁ…?」
「でもまぁ、あの雅の表情を見たら何となく結果オーライだったんじゃないですか?」
「…チ…次やったらぶっ殺す…」
そういい放ちどさりと腰を降ろした三蔵だった。