第12章 まっ更な想いと、唇
「本当に…三蔵?」
「あ?何寝ぼけたこと言ってんだ、テメェは」
「…クス…三蔵だ…」
「とうとう本格的におかしくなったか?」
「…ごめん、そうじゃなくて…」
巻き付きたい…私も抱き締めたい…でもそれは三蔵が嫌がることだと一緒にいて知った事。わざわざそんなことをしたくない…まっすぐに見つめていたいけど…変な顔をしてるかもしれない…
「三蔵…」
「なんだ」
「少しだけ…こうしてていい?」
そういって雅が取った行動は、コツリと額を三蔵の胸元に当てることだった。
「これだから…」
「え?」
行き場をなくしていた雅の腕を自身の腰に回すように促した三蔵。不器用ながらもそのまま三蔵の両腕もまた、雅を抱き締めた。
「あのバカ共の前ではするな」
「…でも…三蔵こうされるの嫌いでしょ?」
「俺は嫌いだと言った記憶はないがな…」
「でも…」
「見られた後に茶化されるのがウゼぇだけだ。それに、雅、お前なら悪くない」
「三蔵…」
「それから…」
そういうと肩に手を置き、良しと言ったばかりの腕を解きだした三蔵は、ゆっくりと雅の頬を撫でた。
「悟浄に勝手に…されてんじゃねぇよ」
「え?」
言われた意味を解読するよりも先に雅の唇は三蔵のそれ唇に塞がれていた。ゆっくりと離れ、角度を変えて再度塞がれる。
「ン…フ…」