第12章 まっ更な想いと、唇
その三蔵の一言で決まり、この日は早めに停めることにした。そうして、皆で薪を集め、準備をする。その間も三蔵は至ってマイペースにたばこを燻らせている。
「三蔵!!三蔵も少しは手伝えよ!」
「フン…断る」
「ちえぇ!!」
「でも、私頑張るよ?」
「雅が一緒だからマジ助かる!!」
「ありがとう!」
嬉しそうににこっと笑い合う二人を見て三蔵はまたしても苛立ちを覚えていた。八戒と悟浄に至っては、天然過ぎる二人の様子と三蔵の様子を交互に見ては苦笑いを残すのみだった。
「あーらら…」
「でも悟浄?悟空のあの天然さ、三蔵にはいい刺激になると思いません?」
「それは確かにな…雅にとってもいいことに繋がればいいけど…」
「とはいえ、あの三蔵ですからねぇ…先は長いかもしれませんが…」
「それなら…」
そういい悟浄はいい案を思い付いたと言わんばかりに八戒に打ち明ける。
「……うまく行くでしょうか?」
「まぁ、いくんじゃね?」
「そうですね…やってみますか?」
「さすがの三蔵も雅相手にぶっ放したりはしないだろうし…」
そういって二人の間ではある作戦が決まっていった。夕方頃に、悟浄は雅に話をしていた。
「みーやび、あのさ?」
「ん?何?」
「この少し行った所に、月光が差し込む場所あってさ?後で少し水浴びしてこいよ。」
「うわぁ…いいの?」
「もちろん、八戒や皆にも言って、雅がいる間は近寄らないようにしとくからさ!」
「じゃぁ、後で行ってみよ!教えてくれてありがとう!」
「おぅ!」
そういって楽しみが増えたと喜ぶ雅。夕食が終わった後に雅は嬉しそうに夕方教えて貰った場所へと行ってみることにした。
「わぁ…本当にきれい…」
服を脱ぎ、縁に畳んでおくと、チャプンと浸かる。深さはちょうど腰の辺りまででそれほど水温も冷たくなかった。
雅がその場を離れてから少し経った頃、三蔵に八戒が声をかける。
「少し前に雅が離れたのですが…なかなか戻らなくて…三蔵知りませんか?」
「…知らんな」
「とはいえ物騒ですしねぇ…悟空は白竜に捕まってますし、僕は悟浄と火の番やら片付けがありますし…三蔵、ちょっと見てきてくれませんか?」
「なんで俺が…」
「じゃぁ片付けとか全て、任せていいですか?」
「…チ…」