第2章 旅立ち
それから丸々二日経ち、明日にはこの村を出ようと言う日の昼間…最後の買い出しにと三蔵以外の三人が買い物に出掛けた。
「なぁなぁ、八戒!あれって…」
「あ、本当ですね、またお一人の様ですが…」
「おーい!雅ぃ!!!」
ぶんぶんと手を振る悟空はそのまま走り出して雅の元へと向かった。
「あ、おはようです」
「おはよう!雅!なんだよぉ、また一人なのかよ!なんで?」
「なんでって……それは…」
そんな二人を見て悟浄は小さく苦笑いを溢す。
「あのバカ猿、純粋に聞きやがって…」
「仕方ないですね、それにしても僕が気になるのは…」
「あー……言うな八戒…必死こいて聞こえねぇフリしてんだ」
「そうは言っても聞こえてしまいますからねぇ」
そう、無邪気な顔して話している悟空と問われている雅は聞こえにくくとも、八戒と悟浄の耳にはしっかりと村人の声が届いていた。
(全く…困りもんだよなぁ。)
(下手に追い出して俺達まで殺されたら溜まったもんしねぇから言えねぇだけで…)
(三蔵様に浄化して貰えないものかねぇ)
全て雅に向けられた冷たい声ばかりだ。しかし三蔵一行の悟浄や八戒はもちろん、雅と関わったからどうこうと言うのはなかった。ただ、自分達が雅と一切関わることをしない、それだけだった。
「悟空?そろそろ行きますよ?」
そう声をかけて、雅と最後になにか話しているのを見届けて買い物に向かっていた。