第1章 出会い
「無理して笑うことなんてしなくていい。心が解らなくなっちまう」
「…大丈夫です。何か気を遣わせちゃってすみません…」
「男は女に頼られてなんぼの生き物だからな。」
その言葉を聞いた雅はそっと両手を差し出した。
「…ん?」
「悟浄さん、見てて?」
そういうと手の上にふぅっと小さく息を吐く。するとふわっと浮かぶ、ピンクのような、キラキラと光る玉状の「何か」がそこに浮かぶ。
「…ほぅ……これかぁ、悟空が言ってたのは…」
「…ん、昼間の…悟空さんって言うんだ…」
そっと空に放り投げるように手放した。
「これが私が母親に異端児って言われる要因なんだ…この力が出たのが十一の時、今から十年前の誕生日だった。」
ゆっくりと話し始める雅。そんな相手の話を突っ込むこともなくただ悟浄は聞いていた。
「ひょんな事で両親が喧嘩しちゃって…誕生日に喧嘩しないでって怒っちゃったの。そしたら父が…バラバラになっちゃった……私が…気付かない間に手にしてした力が暴走して…父を殺した…だから母になじられても…化け物と言われても…怒ることはしないようにしたの。ニコニコして、怒ることはしないで、力の使い方を自分自身で何とかしようって…」
そこまで話すと雅はふと空を見上げ、月を仰いだ。
「こんな話してごめんなさい、気持ちの良い話じゃ…無かった…」
「雅ちゃん…」
「私は外でってのもなれちゃってるから…帰ってゆっくり休んでください、母も私がいなければ穏やかなので…」
にこやかに、でもどこか寂しそうに笑う雅に何も言えないまま、ペコリとお辞儀する相手の意思のまま悟浄は三人の居る所へ戻っていった。