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凜恋心【最遊記】

第11章 男同士の夜


「なぁ、聞いて良い?」
「断る」
「…って、まだ何も言ってねぇだろうが」
「貴様の言う事は大抵どうでも良いことだ。」
「雅の事…でも?」
「……なんだ」
「クク…聞く気になった?」
「さっさと話せ」
「雅に好きだって言われたんだろ?なぁんで答えてやんねぇ訳?」
「…おしゃべりなヤツだ…たく」
「俺が聞いたんよ、雅は悪くねぇからな?」
「別に、答えてねぇ訳じゃねぇよ」
「でも好きって聞いてないっていってたぜ?」
「言葉だけが伝える術じゃねぇだろうが」
「おや…?三蔵サマ…?」
「…なんだ」
「じゃぁ、どうやって想いを伝えたわけ?」
「貴様には関係ない」
「言っとくけど、キスだけで良い時と悪い時があるぜ?」
「関係ねぇ」
「まぁ、これは俺の憶測だけどな?女性にはちゃんと言葉にしてやらなきゃいけない時があるわけよ。今までの三蔵じゃ関係なかっただろうけどさ?」
「全く、どいつもこいつも…」
「何か言ったか?」
「何にも」

そう言いながらも三蔵は夜空を仰ぎながらゆっくりと話し始めた。

「アイツが…雅が考えてるよりかは俺は…雅の事大事にしてやりたい。好きだとか、んな言葉なんざ嘘でも言えるし、重たくもなる。だったら、そんな事のないように…言葉以外の手段を取るだけだ。」

余りにも素直すぎる、まっさらな三蔵の心に悟浄は少し驚きながらもふっと笑った。

「それさ、普通に雅に言ってやれば?」
「言うつもりはない」
「雅、意外と待ってるかもよ?三蔵に言われるの」
「それは貴様の考えだろうが」
「俺なら言ってやりてぇけど?」
「貴様と一緒にするな」
「でもまぁ、三蔵に嫌気差したら俺が引き受けるからなぁ?」
「フッ…やれるものならやってみやがれ」
「ん?何その自信。雅は俺から離れねぇって?」
「………俺が離すつもりなんざない」

そう呟き、たばこの火を消すと立ち上がり数歩移動するとごろりと寝転がった。そんな三蔵を視線で追いながらも悟浄は体育座りの膝に突っ伏した。

「…なんだ、これ……惨敗じゃねぇの…」

誰に言うでもなく、悟浄の呟きは暗闇の闇夜に溶けていった。
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