第10章 ふとした疑問、そして…
「で?昨日はうまく行った?」
「え…っと……私は好きって言えた」
「そっか。……ちょっと待て…雅?」
「なに?」
「私はってどう言うこと?」
「ん?そのままだよ?」
「三蔵の反応は?」
「ふぇ?」
「三蔵の反応、返事とか…」
「好き、とかはなかった…かな?」
「…マジ?」
「ん、でも考えてみてよ…あの三蔵が好きとかって言うと思う?」
「や、あの三蔵もこの三蔵もねぇだろ…言われたら伝えるって当然だろ?」
「ん……でも…」
俯きながら雅は思い出したかの様に顔を赤らめていた。
「なにかあった?」
「でも…ぎゅって…してくれた」
「それだけ?」
「……あと…その……」
「キスされた?」
「見てた?!」
「ビンゴか」
「…ッ……はめられた…」
「でもさ?雅?好きって想い無くてもキスできるんじゃね?」
「それはないよ、悟浄じゃないんだから」
「あー、それ、地味に傷ついた…」
「あ…ごめん…」
ふと視線がぶつかり合う。そんな中、雅は昨夜悟浄に言われたことを思い出していた。
「でもね…?悟浄?」
「んー?」
「私ね…嬉しかったよ?」
「何が?」
「悟浄に昨日の夜言われたこと。『守ってやる』って言われたこと」
「んなの、八戒や悟空だって思ってるよ、ただ口に出して言わないだけで。」
「そっか…でもね?ありがとう」
「あぁあ……マジで後悔しそうだわ…」
「何が?」
「なぁんで雅の好きな人が三蔵なんだろうねぇ。あンの堅物のどこがいいのか俺にはさーっぱりわかんねぇわ…」
「…クス…私も…悟浄のが見えやすい優しさだし、悟空のが解りやすい笑顔だし、八戒のが色々丁寧だし…」
「でも、雅は三蔵がいいんだろ?」
「…ん」
「そんな顔されちゃ、俺の敗けだな…完敗」
「え…そんな変な顔してる?」
「逆、めちゃくちゃいい顔してる」