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凜恋心【最遊記】

第9章 届かぬ思いと、繋がる絆


「あいつは……俺より悟浄を選んだかも知れねぇだろうが…」
「…三蔵…それ」
「取るだ取られるだの話じゃねぇんだよ…」

きゅっとチャームの桜を握りしめた三蔵。それを見た悟空はゆっくりと声をかけた。

「…なぁ三蔵?」
「……なんだ」
「それ、どこで拾ったの?それとも返された訳?」
「昼間、そこの広場で会ったろ。」
「だったらそれ、雅が探してたヤツじゃねぇの?」

それを聞いた八戒ははぁっと解りやすい程大きなため息を吐いた。

「だとしたら三蔵の早とちりかもしれませんね」
「………チ」

袂に入れ直し三蔵はふいっと外を見ていた。

そんな時の雅の元に悟浄はやって来る。

「無いよ…なんで…」
「みーやび、こんな時間に何してンの?」
「…ッ悟浄……」
「ライト持って…ん?」
「ごめん、心配かけて…ちょっと探し物…」
「なら明日探せばい『大丈夫!』……雅?」

珍しく言葉を遮り、雅は必死になって這いつくばりながら探している。クシャリと前髪を掻き揚げながら悟浄はゆっくりと話し出した。

「三蔵のネックレス、無くした?」
「…ッなんで…?!」
「やっぱりな…チェーンが見えなかったから…」

その一言で雅は探すのを止め、ペタンと座り込んでしまった。

「悟浄が気付いてるなら……みんな気付いてるよね…」
「雅、一括りにすんな」
「………私…三蔵に嫌われちゃったかな…」

そう話し出す雅の目からは一筋の涙が溢れて来ていた。

「…ハハ…てか始めから好かれてもないのかも…仕方ない、って…言ってたし……ヒック…」
「雅…」
「私…バカだよね…違いなく、同じ様に接してくれて…たまに歩く時にも…歩調合わせてくれたり…そんな優しさが好意とは…限らないのに………」
「雅」
「やっぱり…私…」
「ッ…!もういい…」

そういうと悟浄はそっと跪ひざまずいて抱き締めた。

「頼むから…もう泣くな…女の涙は勘弁して…」
「…ごじょ…ぉ」
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