• テキストサイズ

凜恋心【最遊記】

第8章 交差する想い


翌日の朝、雅は重たい目蓋をゆっくりと開ける。いつになく眩しく感じる日差しが、太陽が既に昇っていることに気付かされた。

「え…今…何時!?」

ガバッと起き上がると、目の前にいた悟浄と目が合う。

「おはよ。」
「あ、悟浄…おはよ、起こしてくれたらよかったのに…」
「いんや、初めて飲んだ酒に溺れたヤツ起こす程バカじゃねぇよ」
「ごめん…昨日…どうしてたっけ…」
「覚えて…ない?」
「ん…皆で楽しく飲んで、八戒のくれたお酒がすごく甘くて、美味しくて、それから……こうして悟浄と話してる…」
「そか。俺が運んだ。」
「…ッ!ごめんね…重かったでしょ?」
「いや、逆にもっと太りなさい?」

クスクスと笑うと、よっと椅子から立ち上がる悟浄に、雅は申し訳なさそうに問いかけた。

「ねぇ…悟浄?」
「んー?」
「私昨日変なこと…してないよね?」
「変なこと?」
「ん…記憶がないって…何か変なことしても解んないし…」
「あー、……それなんだけどさ、雅」
「な…何?まさか変なことした?」
「…したのは俺。」
「へ?」
「雅寝てる間に、キスした」
「……へ?…クス、またまたぁ!よかった!そんな冗談言ってくれるくらいなら!」

そう言い立ち上がった雅。『皆に挨拶してくる』と扉に向かったときだった。

「…マジだけど?」

そう呟いて悟浄は雅の後ろからふわりと抱き締めた。かなりの身長差があるため、悟浄の両腕の中にすっぽりと収まってしまった雅は突然の事で驚きのあまりにピタリと動きが止まった。
/ 402ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp