第56章 菩薩との契約
そこまで音読すると、八戒は三蔵にその手紙を差し出した。
「…なんだ」
「この最後は僕が代弁することではないので…」
「……」
「ほら。受け取ってください?」
「…受け取らなくても解ってる…」
「三蔵…」
「その言葉は……今聞くものじゃねえよ……」
涙が溢れて視界はぼやける。それは四人誰も同じことだった。天を仰ぐように上を見た三蔵の目からも涙が零れていた。
「なんで……なんで…さっき言ったのと真逆なんだよ……雅のばか…」
「本当だよな…真逆にもほどねえか?」
「……でも、恐らくこっちが本当でしょうね」
「……わーってるよ」
「俺も…!!」
「あれ……これ…」
「なんだ?」
「……三蔵?」
「うるせえ」
「これ。渡しておきます。」
「いらねえ」
「そういわず。」
そう言って八戒は『PS…』と書かれたメモと小さく光るリングを渡した。
「…これ…」
そういって三蔵は受け取った。