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凜恋心【最遊記】

第56章 菩薩との契約


「……嘘…だろ…」
「大丈夫だ。生きてるからな。少し休んで、目を冷ませば普通に暮らせる。」
「普通に…だと?」
「三蔵…?」
「ふざけてんなよ……何が普通にだよ…残されてんのはこっちだろうが…!普通にって……」
「西に行けよ。諦めんなよ?」
「まてよ!!」

そういう三蔵の言葉も届くこと無く、雅の体を抱き上げたまま菩薩と二郎神は天界に帰っていった。

「……何でだよ……どうして…」
「三蔵…」
「何止めてんだよ……てめえ等は……」
「殴りたいなら殴ってください。それでも、あなたも気付いていたんでしょ?あれが雅の本心じゃないと」
「……ッッ…」
「少なくても、僕はあそこで雅の事を止めるのは正しい事ではないと思いました。」
「………関係ねえよ」

そう話している間、悟空はどうしようも無い顔をしたまま座り込んでいたが、ふとフラリと部屋を後にした。

「悟空のやつ…大丈夫か…?」
「…放っておけ…」

そういう三蔵も力がない。しかしすぐにガチャリと扉は開いた。

「……これ…」
「え、何ですか?」
「今…雅の使ってた部屋、行ってきたんだ。」
「なんでまた…」
「だって…さっきの奴言ってたじゃん!『諦めんな!』って……だからって訳じゃないんだけどさ……雅の部屋に行ってみた…」
「悟空……」
「そしたら…これ」

そういって八戒に差し出したのは紛れも無く雅の字だった。

「手紙、だろ?」
「マジか…」
「読みますよ?三蔵」
「………」

返事の無い三蔵。ふぅ…とため息を吐くと八戒は少しずつ読み出した。
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