第56章 菩薩との契約
「…本当に今までどれだけ我慢してきたか…悟浄なんてただのエロだし…!それにいつもナンパばっかで……!一緒に居て恥ずかしいんだよ?悟空は口開けば『腹減った』ばっかだし…!?バカみたいに頼んでいっつも……ッ…それに……八戒も……八戒も口うるさいし…!何かほんとにお母さんとか…!!」
そう言い出したら止まらなくなってしまった雅。しかし、雅の言葉は途切れ途切れになっている。その涙は菩薩の目にしか映らなかった。それでも、背中側の四人には、雅が泣いている事は解っていた。
「三蔵…ッッ…すぐハリセンで殴るし!!短気だし…それに…!それに…!!」
言わなくちゃいけない事と、言いたい言葉があまりにも違いすぎて、雅は言葉を紡ぎだす事が出来なくなっていた。
「雅!そんなの嘘だって解ってる!」
「まぁ、確かにあながち間違ってないところもありますが、あなたらしくないですね…」
「何の為の嘘かしらねえが…吐くならもっとましな嘘吐きやがれってんだよ」
「そうだな、」
「嘘じゃ……嘘じゃないよ。ずっと思ってきた事。ただ生活とか…いろんな事不便になるのも困るし……!だから自分に嘘吐いてただけ…!」
「…うるせえよ」
そう一喝したのは三蔵だった。