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凜恋心【最遊記】

第54章 あなたの愛で繋いで


そういって三蔵から雅の体を離し、傷口を塞ぐ八戒。しかし、その最中からも血液は止めどなく溢れてくる。

「雅!!しっかりしろ!雅!!」
「悟浄、あなたはご亭主呼んできてください」
「……ン……」

目を覚ました怜音。八戒も相手が女性と言うこともあってかかなり軽く打った。それに気付いた三蔵はフラりと怜音の前に視線を合わせた。

「……ふざけるなよ…」
「三蔵さん…これで私…」

パン…・・!!

「三蔵!!」
「な…んで…?」

そう、三蔵の平手が怜音の頬を捉えていた。

「ナメた事してんじゃねえよ…何してんだてめえは…」
「三蔵…」
「気安く呼ぶんじゃねえよ…」
「でも…あの子は…!」
「貴様と雅を一緒にすんじゃねえよ!」
「私のが…三蔵さん…三蔵の事愛せるよ?」
「うるせえ、気安く呼ぶなって言ってんだろうが!」
「どうして…女に興味なかったんでしょ!?私にも興味持たなかったくせに…」
「雅あいつ以外の女には興味がねぇ。それに何度も言わせるな、貴様と雅を一緒にするな」

そんな最中に悟浄が連れてきた宿主が入ってくる。

「何です……か…って……怜音…?」
「お父さん…」
「お前!!何やってんだ!」
「見りゃ解んだろうが…」
「どうしたことだ…怜音!!お前何をした!!」
「ご主人、すみませんが怜音さんを連れて部屋から出ていただけますか?」
「しかし!」
「お願いします」
「待て八戒…俺はまだこいつと話が『悟浄!』…ッチ」

追いかけようとした三蔵を悟浄が後ろから羽交い締めにして引き留める。

「離せ!悟浄!」
「お断りだ、しっかりしろ三蔵!」
「殺されたくなけりゃ離しやがれ」
「殺しても良いから離すわけにゃいかねぇよ」

そんなやり取りの最中も八戒は雅に気を送り続けた。

「三蔵……ぉ?」
「…雅、気付きましたか?」
「…八戒……なんか…すごく寒い……」
「冬だからですよ?大丈夫。」
「そうかな……なんか……あれ…三蔵…は?」
「おい……!」
「…三蔵…?どこ?あ…またたばこ…吸いに行った?」
「いるだろうが!!ここに!!」
「……おかしいな…声……聞こえるけど…すごく遠くて…」
「ふざけんな!!」

傷は塞ぎきれたものの不意打ちだったと言うことと失血量が多すぎて、雅の意識は危なくなってきていた。

『おい、邪魔だ』
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