第54章 あなたの愛で繋いで
……・・・ーーそれから二日…ーー・・・……
所々で怜音はやってくるものの触れ合おうとかそう言ったことは少なくなってきた。そんなある時。見かねた悟浄が動いた。
「れーのんちゃん」
「…はい?あ、悟浄さん」
「……ちょっと良い?」
「なんでしょうか?」
「三蔵の事さ、諦めてくんね?」
「嫌です。」
「そんな即答で……なんでそんなに三蔵が良い訳?」
「初めて見た時に、すごく胸が熱くなったんです。あの人に愛されたい…そう思ったのは初めてでした。一生ものの出会いって本当にあるんだって」
「あ、そう。でもさ?それって三蔵本人の意思は全く考えてないんじゃね?」
「ほんの少ししか話せてないので…それでだと思うんです。」
「そうかぁ?」
「皆に言われるんです。守りたいって…でもそれは私にとって一生ものの恋だって感じなかった…だから全て断ってきたんです。それも三蔵さんに会うためだったんだって……」
そう言いきる怜音は『何も間違っていない』と自身を信じきっている様子だった。頭を掻いて悟浄は上から見下ろした。
「でもさ?三蔵に大切な人がいたとしても、か?」
「雅さんの事ですか?」
「…解ってんじゃねえの…」
「でも、旅の仲間だってしか聞いてません。大切な人ならそう言えば良いじゃないですか?」
「…あーー、そう言う…」
「そうじゃないですか?悟浄さんや皆さんと同じようにしか言わないなら大切な人だって言っても私のがはっきり言えるんです。三蔵さんを好きだって…だから私の方が三蔵さんに合ってるんです。」
その時だ。怜音を呼ぶ声がした。
「直ぐ行きます!!……だから悟浄さん?邪魔しないで下さいね?」
ニッコリと笑みを残して怜音は呼ばれた仕事に戻っていった。
「……やぁっぱ、あの子、俺ニガテだわ」
そう呟いていた。その日の夜……
「なぁ三蔵?」
「なんだ」
「一日前倒しで出発できねえもん?」
「はぁ、そうだな」
「じゃぁ明日食料買い出しして、終わり次第出発しましょうか」
「…あぁ」
「どうかした?三蔵」
「別に…?」
そう答えた三蔵。その次の瞬間だ…カシャンと食器の落ちる音がした。