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凜恋心【最遊記】

第6章 芽生え


「気になりますか?」
「……なにがだ」
「何か、はあなたが一番良く解ってると思いますが?」
「…フン……」

それ以上は何も話すこと無くジープを走らせていた。

その日の夜は日が落ちた後とはいえ街に着いた。宿を取り、部屋に入る。久しぶりに人数分ベッドが取れた。ボフッとベッドに飛び込むように飛び込んだ悟空。しかし時期に夕飯に行き、空腹を満たした。

「これからどうしますか?三蔵」
「少しこの町に滞在するぞ。」
「やったぁ!」
「色々調達もあるし、三~四日は居るつもりだ。」
「なら大分ゆっくりはできますね」
「どうした?雅、」
「ちょっとお手洗い」

そう言って雅はそっと席を立った。

「……いいんですか?三蔵」
「トイレくらい行けるだろうが、ガキじゃあるまいし」
「そうじゃなくて」
「じゃぁ何だ。」
「昼間から雅の様子、気になっていたんでしょ?」
「だが子供じゃねぇだろ。」
「…あれ、悟浄は?」
「…チ」
「悟空?悟浄知りませんか?」
「ひあえ」
「知らない…ですか」
「それこそあいつはどこかで女引っ掻けてんだろう」
「はぁ……」

深いため息を吐いた八戒。素直にならない三蔵の気持ちにもほとほと気を揉んでいた。

「素直になったらどうですか?」
「…何が言いたい」
「雅の事です。」
「俺があいつの事で…?ハッ、一体何が素直になれ、だ。」
「そうやって、気持ちに嘘ばかりついてると言葉まで嘘まみれになりますよ?」
「なになに、三蔵嘘吐いてんの?」
「そうみたいです。」
「うるせぇ」

そんな会話がされているとも知らない雅。部屋に戻る気にもなれずに、風に当たろうと外に出た。すると直後に背後から声をかけられる。

「みーやび、部屋はこっちじゃねぇよ?」
「…悟浄……」
「何か悩んでる?」
「クス…そう見える?」
「まぁ、な?」
「大したことじゃないの…でも…なんかしんどくて…」

月明かりに照らされる雅の横顔を見つめながら悟浄は壁に凭れていた。
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