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凜恋心【最遊記】

第6章 芽生え


「…?雅?」
「ぇっ…?あ、何?」
「大丈夫ですか?ボーッとして…」
「うん!大丈夫!」
「さっさと終わらせろ…じゃないと…」

そう三蔵が言いながらたばこに火を付けた時だ。風が巻き上がり、人影が現れる。

「李厘…」
「お兄ちゃん!?」
「見つけました。李厘様」
「八百鼡ちゃんまで……もうー!皆…」
「な…何?」
「…?三蔵一行…お前ら…いつから一人増えたんだ…」
「お前らには関係ない。」

その三蔵の一言にズキンとなぜか胸が痛んだ雅。しかし、『迎えが来た』ということで、李厘は大きく手を振りまたねー!と帰っていった。

ジープに乗り、さらに走り出した時、李厘との出会いが未だに雅の脳裏にこびりついていた。いつもの妖怪との戦いとはケタ外れだった勢い…それだけではなく、なぜか李厘の言葉、三蔵の行動が雅の心にがっつりと傷跡に似たものも残していた。

「……ぃ、…おい!!」
「………」
「てめぇだ!雅!」

スパーンとハリセンが飛んできた。

「え?あ、………いたぁい!」
「何回呼ばせんだ、てめぇは!!」
「あ、ごめんなさい。そんなに呼んだ?」
「たく、ボケェっとするのは悟浄だけでたくさんだ」
「なぁに言っちゃってんの?三蔵サマ」
「文句があるのか?殺すぞ」
「ちょっと待って!私の事じゃん、何?」
「もういい。」
「雅、夕飯何がいい?」
「え…それ聞いてた?」
「違うけどさ!なんか俺もう腹減ったぁぁ」
「脳みそ胃袋猿が……」

三蔵の問いかけもそこそこに雅は後部座席の仲間二人との会話に飲み込まれていく。深いため息を吐いた三蔵を横目で見ながら八戒はくすりと小さく笑いながら、三蔵に話しかけた。
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