第53章 純白の花嫁 (後編)
スッと左手を掬い上げると三蔵の手から雅の薬指にリングは填められた。
「新婦、リングの交換を…」
「要らねぇよ、そんなもの無くても俺の心は変わらねぇ」
そう言い放つ三蔵。ふぅっと一つ息を吐くと神父は誓いのキスを…と続けた。
ヴェールを持ち上げ、両手で頬を包み込むと三蔵は小さく笑った。
「クス…ひでぇ顔…」
「だって………」
「黙ってろ」
そうぶっきらぼうに告げると三蔵はそのまま腰を屈めて唇を重ねた。三人からはわぁっと拍手が起こる。
「ン…」
「涙、止まったか?」
「……三蔵…」
「何だ、まだなにかあるのか?」
「大好き…!」
そう言って雅からもキスを交わしたのだった。
小さすぎる、そして破天荒すぎる式も終わった。その後の食事会も何もなく、ただ挙式のみだったものの雅にはとても幸せな時間だった。