第52章 純白の花嫁(前編)
「おれ…三蔵に殺されるの嫌だな」
「心配しないでください。殺されるの、僕ですから、知ってるの白竜だけってことにしてあるので…」
「あらぁー」
そう話していた。当の三蔵と雅はこんなことをたくらんでいる何て事は微塵にも思っていなかった。
翌日二十四日…
八戒と悟浄は買い出し組として足りないものを見に行くと出掛けていった。珍しく買い出しに着いていかなかった悟空は雅と一緒にケーキを作っていた。材料は昨日の内に用意していたのだ。
「それじゃぁ…始めよっか!!」
「おぅ!」
そういってキッチンに立つ二人。とは言ってもほとんどは雅が作っていく。
「悟空、小麦粉振るえた?」
「うん、でもなんか…」
「大丈夫!ありがとう!」
そうしながらもなんとか作っていく。
「なぁ、雅、やっぱり買った方が早かったんじゃね?」
「そうかもしれないけど…でもこうやって作るって楽しいじゃん?」
「…それもそうだな!!」
そういいながらもそわそわしている悟空。
「悟空?どうしたの?」
「え?」
「なんかすごいそわそわしてる」
「……ケーキ、早くできねぇかなって…」
「そっか!!」
クスクスと笑いかけている雅。そんな時だ。
「おい、ちょっと出てくる」
「あ!三蔵!どこ行くの?」
「うるせぇ、たばこが切れた」
そう言ったっきり三蔵はスタスタとその場を離れていく。
「クリスマスにまでたばこって…三蔵らしいね…」
「全く……なんか手伝ったらいいのにさ!」
「でも、きっと楽しみなのかもよ?」
「…そうかな、そうだろうな!!」
ニカッと笑う悟空につられて雅もまた笑顔になる。ホイップクリームを泡立てるのに腕が疲れたと言えば悟空が頑張ってくれ、飛び散りながらもなんとか仕上げていく二人。
「でも、昨日全部買ったと思ってたのになにか足りなかったんだね」
「お……おう」
「悟空?どうかした?」
「いや…別に…」
「…?ならいいけど」
そうこうしている内に不格好ながらも苺のケーキは仕上がった。