第52章 純白の花嫁(前編)
その街を出て一行はさらに西へと向かっていく。あの日から日にちも幾日か過ぎていた。途中で真っ黒な雪雲が見え始めた。
「三蔵…?」
「なんだ」
「この雲……そろそろ来ますかね…」
「だろうな…」
「もしかしたら最悪の場合、少し次の街に滞在することになるLと思いますが…」
「仕方ねえな…」
予想通り、着いた街では、雪が待っていた。
「ホワイトクリスマスですねぇ…」
「こりゃ積もるな…」
「クリスマスって…?」
「キリスト様のお誕生日ですよ」
「キリストって…いつだったかのあの……神様みたいなの?」
「全く別物ですよ、安心してください?」
「そっか…良かった…」
そういって雅は安堵の表情を浮かべていた。
「神の誕生日だかなんだか知らんが関係ない」
「まぁ、三蔵はそうでしょうね」
「はは、らしいよな」
「クリスマスかぁ…」
「雅!クリスマスってな!チキン食って、ケーキ食って、みんなで楽しく騒ぐんだ!!」
「え…」
チラリと八戒の方を見る雅。くすくす笑うと八戒は目を少しだけ細めて小さく頷いた。