第51章 悟空の求めるもの
「私は何のために呼ばれた……?」
「それも確認だ。」
「……」
三蔵は雅の返事でイラつきを隠しきれず、それを言い出した悟空への思いと、一緒に居る、事前に知ってたであろう二人への感情が入り乱れていた。
「一回で良いんだよ…ちょっとだけ!」
「ふざけんな…!」
「何がどうなってるわけ?」
「雅は黙ってろ…」
「なぁ!三蔵!!」
「却下」
「…もぉ…!」
そういうと雅は他の面々も居る前で悟空を抱き締めた。
「よく解んないけど…これでいいの?」
「おい…」
「だって…何か理由があるんでしょ?それにみんな居るし……」
「そういう問題じゃねえ」
「んーー……やっぱ…何もわかんねえや…」
そういうとゆっくりと悟空は離れた。
「ごめんな?雅。急に変なこと言って」
「それは良いんだけど……」
「三蔵も、わりぃ……」
「フン…」
「なんでこうなったの?」
「なんか…すっげえ触れたくなって……そう思ったら悶々して……」
「悶々って……」
「三蔵に言ったら雅は俺の女だからダメだっていうし、それでもどうしてもって言ったら雅にいえって言うし。」
「いや、アレまた言ったんか?」
「言ったんです。」
「んーー、でも納得した?」
「まだ、なんか良くわかんねぇけど、触れてみたら別に普通だった。」
「そっか、…納得出来たならよかったけど…」
「でも、なんか…ごめんな?変なこと言って」
「もう良いだろうが、てめぇらさっさと自分の部屋戻りやがれ!」
「へーへー」
「ほら、悟空も行きますよ?」
「あぁ」
「じゃぁ、おやすみ」
そうして出ていった三人。
「…おい」
「へ?三蔵、どうかした?」
「お前は…まだわかんねぇのかよ。」
「えと…悟空を抱き締めたこと?」
「それも堂々と目の前で…」
「目の前だからだよ?やましい気持ち無いし」
「そういう問題かよ」
「悟空だし。」
「意味わからねぇよ!」
「弟…みたいな感じ。」
「…んぁ?」
そういうと雅は三蔵に巻き付いた。
「誰彼構わず抱き締めたりすることはないから安心して?」
「ふざけるな」
「あってもあの三人だけだよ?」
「悟浄も入るのか」
「クスクス…そりゃ、まぁ?」
「…なんかムカつくな…」
「でも、ドキドキはしないから、するのは三蔵とだけだよ?」
「……ま、仕方ねぇから…多少は譲歩してやるよ」
そう言って夜も更けていくのだった。
