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凜恋心【最遊記】

第5章 災難、そして心


「三蔵、どちらへ?」
「たばこが切れた」
「待てよ!まだ話は…」

悟空の言葉を最後まで聞かずにバタンと戸を閉めて三蔵は部屋から出ていった。

「三蔵のわからず屋!!」
「まぁまぁ、悟空、その辺にしておけ」
「何でだよ!悟浄だって見ただろ!」

その時だ、悟浄はくいっと顎で三蔵の居た椅子の前にあるテーブルを指した。

「…え…?だって、三蔵さっき…」
「解りにくいよなぁ、うちの三蔵サマも。」
「全くです。」
「…ずりぃよ………」

そう、テーブルには『切れた』と言っていたはずのマルボロが残っている。その悟浄の合図で三蔵が本当はどこへ向かったのかは容易に察しが付いたのだった。

その頃の雅は、どっちに行ったら良いかと、うろうろとしていた。勢い良く飛び出してきた以上宿にも簡単に戻れない…とはいえお金もない。ただ、それほど寒い季節でもないことが唯一の救いだった。しかし、慣れないボブヘアに首筋に通る風のせいか…それとも、喧嘩のようにして出てきてしまった罪悪感からか…どことなく寒かった。

「よぅ、姉ちゃん。一人かい?」
「…え?」

広場のベンチに座り俯いていた雅に声をかけたのは、昼間絡んできた男どもだった。

「…ッ!こいつ…」
「あ…えと」
「昼間はとんだ邪魔が入ったが…!!」
「今は一人みてぇだな!」
「やめ…!やだ!」

しかし、街の人達は関わらないようにと避けていく。

「離して…!」
「こいつ…意外とかわいい顔してるじゃねぇか…」
「確かに…クックッ」

気持ち悪くも感じる視線からどうにか逃げ出そうとするも二人がかりでは力が及ぶ訳もなかった。そんな時、男達の動きが止まった。

「おいおい、兄ちゃん、そこ退きな!」
「断る」
「あん?!聞こえなかったか!?」
「テメェらこそウゼェんだよ」
「喧嘩売ってんのか!」

そう言うが早いか、男の内の一人が殴りかかる。掠り際に避けるも少し当たった。そんな相手をこわごわと顔を上げた雅は、やっとその人の顔を見る事が出来た。

「さ…んぞ……」
「あぁあ、全く…本当にどうしようもねぇったらありゃしねぇ…」

そう呟くと男どもに殴りかかる。二人がかりだとはいえ、桁違いに強さが違う。時期に二人の男は去っていった。
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