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凜恋心【最遊記】

第5章 災難、そして心


「でも、またなんで火なんて…」
「初めてで嬉しくて…呼ばれたから行ったの。きっと間近で見せてくれるだけだったんだろぉけど、私ビックリして……」
「動いたときにちょうどタイミング良く火が着いた…と。」
「うん…」
「でも雅、怒っていいんだぞ!!理由はどうであれ!」
「怒らなかったんですか?」
「怒れないよ…私が勝手に驚いて動いて、燃えそうな所を助けてくれたんだし…」

へらっと笑いかけた時だ。黙っていた三蔵が口を開いた。

「テメェが悪いと思うならそれでも構わねぇ。でも、その笑い方はするな」
「三蔵?」
「言いたい事も言えねぇ、愛想笑いだけなんざ要らねぇんだよ。ヘドが出るぜ」
「三蔵!!」
「三蔵、言い方がありますよ?」
「だってそうだろうが、悟空の言う通りだ、髪が燃えても、火事にならなかったから良かっただ?本当に良かったのか?言いたいことはなかったのか?」

髪を切ってもらう間とはいえ、膝の上できゅっと手を握りしめる雅。ザクザクと切っていくものの、可愛らしくショートボブに切り揃えていく八戒。そっと切った髪の毛を払い、どうぞと声をかける。

「ほら、まただんまりだろうが。言われて悔しいなら言ってみろ。」
「……ぅには…・・かんない…」
「雅…?」
「…ごめん、八戒…ありがとうね」

そう言って椅子から立ちあがり、部屋の扉に向かった。

「逃げるのか?」

その言葉に一瞬動きが止まるものの、すぐにがチャリとノブを回して出ていった。残された部屋には一行のみが居る。

「三蔵のバカ!」
「なにがだ」
「もう少し言い方があるだろ!雅その後にも怖い思いしてるんだぞ!」
「それがなんだ。優しくするだけがいいんじゃねぇだろうが」
「それはそうでも、言い方があるでしょう?」
「まぁ、確かにな。俺が通りかからなかったら雅チャン、柄の悪い連中になにされるか解らなかったし。」
「悟空が居ただろうが」
「……ムカつく!ハゲ三蔵!」
「なんだと?」
「雅の気持ちなんで解ってやらねぇんだよ!どんな思いだったとか!考えてやれよ!」
「…知らねぇな」

そう言いながらガタリと立ち上がる三蔵。
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