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凜恋心【最遊記】

第49章 足りないもの


「三蔵……」
「ん?なんだ」
「……ごめん…少しだけ……許して?」
「何をだ…」

そう聞かれながら、返事もせずに雅はきゅっと巻き付いた。

「…おい」
「だから先に謝ったよ?ごめんって……」
「そういう問題じゃねえだろ…」
「…やだ」
「あのなぁ」
「やだ……」
「駄々っ子のガキか…」
「それでもいい…もん」
「ハァ…」

そう小さくため息を吐くとそっと三蔵も雅の背中に腕を回した。

「こんな外じゃ何にもしてやれねえだろうが」
「そんなの無くていい……ただ…」
「ただ?」
「くっついてたい……三蔵の匂いや…温もりに包まれたい…」
「…全く……こういうときに限ってそうやって煽りやがって…」
「煽ってない…」
「自覚がねえのはマジでタチわりいよ」
「三蔵……」
「なんだ」
「好きぃ……」

そういってきゅっと巻き付く腕に力を込めた雅。

「全く…次の街着いたら覚えておけよ…」
「三蔵?」
「……止めてくれって言っても止めてやれる自信がねえ…」
「…いいよ…それでも……」

そういうとゆっくりと体を離した三蔵。そのままゆっくりと顔を近付けて唇を重ねた。

それから二日後…予定どおりに街に着いた一行。まずは宿屋を取り、その直ぐ後に食事に向かう。

「……飯ぃぃぃ」
「全く…何なんだ…お前は…」
「だってよぉ!!前の街の食材も途中でなくなるし…」
「さすがにお腹空いた……」
「だろ?ほら…雅だって……!!」
「俺は女がほしい…」
「皆さん欲望に素直ですねぇ…」
「さっさと行くぞ」

そういって食堂に向かっていった。わいわい言いながらもあまりのうるささに三蔵のハリセンがスパーーンと悟浄と悟空に命中した。その直後だ…

「うわ…!テーブルの首…もげた!!」
「しぃ!!静かに悟空!!」
「…なんで俺たちが押さえてなきゃならん!」
「てめえらが派手にこけたからだろうが!」
「これ…ばれたら弁償ですかね…」
「……ちょっと、手、離すよ?」
「おい、雅!!」
「なに考えてんだ、てめえは…!!」
「このままじゃごはん食べれないもん…」

そういうと雅はさっさと手を離し、店の奥に向かっていった。
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