第48章 優しいバースディ
メガネを外し、そっと腰を抱き寄せ、下から見上げる三蔵。
「お前がここに居る。それだけで十分だ」
「…三蔵…」
「ま、それでも雅が物足りないってならそうだな、何してもらおうか…」
「…三蔵?……」
「二言は無いな?」
「…えっと……三蔵様?」
「それとも口先だけか?」
「それは……ッッ…」
「クス、コーヒー」
「……え?」
「コーヒー、おかわり」
「……あ…うん」
「なんだ」
「……別に……」
「何期待してんだ」
「何も!三蔵のエッチ!!」
「コーヒー寄越せって言うのが何がエッチだ、バカじゃねえのか…?」
「もういい…ですよぉだ……」
そうして勘違いをしていた自分に恥ずかしくなりながらも三蔵のサイドテーブルからマグカップを取ると小さなキッチンに向かった。
「……でも、お宿もきれいだし…部屋も広いし。こうして小さくてもキッチンもある……ッッ」
「……」
「三蔵?」
後ろから抱き締める三蔵。きゅっと両腕に収まる雅はドクンと胸が高鳴った。
「せっかく八戒が気を利かせてくれてんだ。」
「だって……さっき三蔵がコーヒーって……」
「冗談に決まってんだろうが…」
「解りにくい」
「…どれだけ一緒に居るんだ」
「…そうは言っても……」
「こんな雨の日で、この時間だ。悟空や悟浄も連れていったとなれば昼飯もすませてくるだろ」
「…三蔵」
「ただでさえ…夜には抱けねえんだ……」
「…さん……ぞ」
カチンとコンロの火を切り抱き締める腕に力が入る。そっと右手は胸元へと上がっていく。