第48章 優しいバースディ
そうして部屋割も決まった。
「そういえば団体さんっていってたけど、なにかあるのかな…」
「さぁな」
「でも、本当にすみません……お二人の誕生日も明日だと言うのに……」
「問題ねえよ。野宿よりよっぽど良い」
「そうでしょうか……」
「違うのか?」
「私は嬉しいよ?」
「だそうだ」
「……なにか美味しいもの、作りましょうね」
「本と?」
「えぇ、ですから雅?あなたはこの間の服来て三蔵とデートでもしてきてください?」
「……でも…!」
「明日、何したいか考えとけよ」
「……三蔵…ッ…」
「良かったですね!」
そうして嬉しそうに笑って『ん』と答えた雅だった。
しかしその翌日……
「…なんか…本当にすみません…」
「何昨日から謝りっぱなしなんだ!」
「…それに雨なのは八戒のせいじゃないし…」
「そうだな」
「…そうは言っても…」
「ま、誕生日だからどうこうってもんでもねえし…」
「そうだね!」
「それじゃぁ、僕、買い出しに行ってきますから。あ、悟空と悟浄も連れていくので。のんびりしていてください?」
「…ありがと、気をつけてね?」
「えぇ」
そうして八戒は部屋を後にした。ひらっとしたワンピースを着ている雅をみながら三蔵はコーヒーを飲んでいる。
「あ、三蔵?」
「なんだ」
「……」
「なんだ?」
首にきゅっと巻き付くと雅は少し恥ずかしそうに耳元でささやいた。
「…三蔵、お誕生日おめでとう」
「…それは雅もだろ…」
「…ん……それでね?」
「んぁ?」
「……私、三蔵にお誕生日のプレゼント何が良いかなって思ってて」
「要らねえよ」
「そういうわけにはいかないじゃん?」
「……別に要らねえ」
「……でも…あ、じゃぁ、何かしてほしいことは?」