第48章 優しいバースディ
それからいくつかの街を過ぎ、三蔵と雅のバースデイを翌日に控えたその日。
「……本当にすみません…」
「仕方ねえだろうが……」
「大丈夫だよ!!もしかりに野宿だとしても……問題無いし!」
「…何か…本と…」
「気にしないで?ほら!お宿いこうよ!!お部屋無くなっちゃう!!」
そう、二人の誕生日にも関わらず、待ちに着く事も無く、着いた先は少し大きめの村だった。
「あ!!ねえね!!すごくきれいな宿屋さん!!」
「飯うまいかな!!」
「美味しいと良いね!」
「いらっしゃい、ええと、五名様ですね?」
「はい!!」
「申し訳ございません…少し足りなくて……」
「いくつあるんですか?」
「二部屋、ベッドは四台なんですが…」
「…どうします?三蔵」
「良いだろ、それだけありゃ」
「…お願いします」
「予備のお布団とかも本来ならご用意あるんですが…ちょうど団体のお客様も重なっておりまして……ご用意できるのが無いのですが……よろしいですか?」
「あ、はい」
「かしこまりました。
そうして二部屋を借りた。
「部屋割…どうしますか?」
「あーー、八戒、俺悟空と一緒でもいいわ」
「え、俺悟浄と一緒な部屋?」
「…そういうこと、ですか…」
「どうしよっか……」
「俺はどうでも構わんが…」
「……じゃぁ、僕と三蔵と雅が一緒の部屋で良いですか?」
「……ふえ?」
「ご不満ですか?」
「…や、そうじゃなくて私も一緒で良いの?」
「そうでなきゃ雅のベッド、ありませんよ?」
「……あ」
「そういうわけだ…」
「…で?お前は俺と一緒だと不満って訳か?」
「そんなこといってないけど…」
「それじゃぁ、決まりですね」