第46章 共犯者
「……まさか…ね」
「はっかぁい!!こっちこっち!!美味しそうなお店あった!!」
「あ、済みません。今行きます」
そうして八戒は疑問を抱いたまま二人の待つ店に向かっていった。
そうこうして食事を摂ると、嬉しそうに色々と見て回る。八百屋の前でリンゴを取ろうとしたときだ。
「あ…」
「あ、どうぞ?」
「いえ……」
「あ……あなた…」
「はい?」
「もしかして彫金場にいらっしゃいますか?」
「…えぇ、そうですけど…」
そう。八戒がたまたま手を伸ばしたリンゴを狙っていたのはタイミング良くも三蔵の彫金担当になっている人だった。悟空と雅は近くの屋台の前であれこれと話している。
「どこかでお会いしましたか?」
「いえ、僕の連れがそちらでお世話になっていまして…」
「連れ……もしかして旅されてます?」
「えぇ。金髪の目付きの悪い人、いません?」
「いらっしゃいますよ?そうなんですね!」
「あの……つかぬことをお聞きしますが……」
「はい?」
そうして八戒はその女性と少し話をしていた。
「……・・・ーーーーそう言うことでしたか…」
「もしかして秘密だったんでしょうか…」
「いえいえ、僕が勝手に聞いたことですし。あ、でも、僕に聞かれたこと、あの人には内緒にしていてくださいね?」
「解りました。」
そうして八戒は雅と悟空のもとに向かっていった。
「そろそろ行きますよ?」
「行くよって、八戒が珍しかったから待ってたのに…」
「はい?」
「女性ナンパしてたから…」
「ナンパじゃありませんよ。悟浄と一緒にしないでください?」
「……本当?」
「疑い深いですね…リンゴの取り合いなんて男女でみっともないでしょ?譲り合いですよ…どっちも引けなくなってしまって…」
「…あ、そっか…」
そうしてうまくごまかせた八戒。それでも屋台のおじさんに請求された金額を支払って宿に戻ることにしたのだ。
その日も夕飯近くなってようやく帰ってきた三蔵。理由を知っているのは八戒だけだった。
「おい三蔵!!おっせぇよ!!」
「うるせえ。先に食ってりゃ良いだろうが…」
「それはダメだもん!!」
「…はぁ、で?悟浄は」
「女の子のとこなんじゃない?」
「なら良いな。食うか…」