第45章 疑惑
その日の午前中、珍しく三蔵は『少し出る』といって一人宿を後にした。
「…三蔵が珍しいね…」
「で?雅は一緒に行かなかった訳?」
「だって、行きたいって言ったら着いてくるなって言われた……」
「あーー、それで俺んとこにいるわけね?」
「うん」
そう。何故か三蔵に一刀両断に着いていくことを拒まれた雅。そういったことは珍しかった。大抵はどこに行くにも三蔵が出るといい、雅が行きたいと言えば『好きにしろ』と言われることが多かった中でしょんぼりしていた。しかも、法衣ではなかったのだ。
「それって……浮気か?」
「悟浄と一緒にしないで」
「たまぁに雅グサッと言うよな」
「三蔵浮気…しないもん…」
「へーへー」
しかしなんとも言えない顔をしたまま雅はしょんぼりとしていた。
「なら、俺と出掛ける?」
「……八戒と服買いに行く」
「そういう八戒もなんか出てったぞ?」
「……嘘吐きぃぃぃ……もういいや…悟浄でいい…」
「ひっでぇなぁ。じゃぁ俺もきれいな女の子のトコ……」
そういいかけた時、きゅっと雅は腕をつかんだ。
「雅?」
「…ごめん…悟浄でいい何て言って……」
「…冗談だよ。行くぞ?」
そういって二人は出掛けた。