第44章 果て無き想い
翌朝、目を覚ました雅。
「……これ…どうしよう…」
そう。身ぐるみ無いまま三蔵に連れてこられたため、動くにも動けない状態だった。
「…三蔵…?」
「……」
「三蔵法師様?」
「………」
心地良い寝息を立てたまま三蔵は起きなかった。それどころか寝ぼけて腕を引っ張られ、抱きすくめられる始末だ。
「……私、どこにも出られない……」
そう。三蔵が起きてくれるまで服を取りになど行けない。一部屋空けて近くの部屋と言えど、朝になれば誰が行き交うか解らない。
「三蔵…起きて?」
「…ン…もう…少し…」
「もう少しって……」
そのまま眠りについた三蔵。何があっても妖怪相手なら起こす間もなく目を覚ますのに…そう思っていた。
「……だったら…」
そう呟いて雅はそっと三蔵の唇に自らキスをおとした。
「…ン…」
「…起きない……か…」
そう呟いた次の瞬間だ。視点は変わり、さらりとかかる金糸の髪と、それに透けるアメジストアイが雅をとらえた。
「寝込みを襲うとは……良い趣味だな…雅」
「…起きた?」
「起きた?じゃねえよ…まだもの足りねえのか…」
「じゃなくて……私…服もなにも無い……」
「……んぁ?」
「んぁじゃない……」
「……まぁ、良いんじゃねえの?」
「良くない…」
「あーー、うるせえ…もう少ししたら取りに行ってやるから…もう少し寝かせろ…」
そう言うとぽすっと雅に被さり抱き締めたまま再度うとうとと目を閉じた三蔵だった。