第5章 災難、そして心
ドンッ!
不意に肩がぶつかった。災難が続くとはこう言うことだろう、見るからに柄の悪そうな男に絡まれた雅。
「なんだよ、お前!」
「ぁん?粋がってる姉ちゃんにガキかよ」
「ぶつかったのはそっちだろ?」
「ごめんなさい、急いでて…」
「急いで、なんて聞けるかよ」
「あの、すみません…」
「謝ってんだろ!」
「うるせぇガキ!!!」
「むっかぁぁ!」
しかしそんな時だ。男の背後から見知った顔が声をかける。
「謝ってる女の子に対して許してやる広い心を持てよなぁ、」
「なんだ?テメェ」
「悟浄…!!」
「いーから☆痛い目見る前に帰ったら?」
「なんだテメェ」
「消えろってンだよ」
その一声で男達は怯み、去っていった。その街でも有名な柄の悪い男達だった事もあって、まわりの住人からは安堵の声も聞こえた。しかし、悟浄は心中穏やかではなかった。
「で、雅?その髪どうした?」
「あ…ちょっと…」
「大道芸の奴らの火が移って切られたんだよ!」
「悟空!!!」
「…切られたって…」
「大したこと無いよ、服に燃え移ったりやけどしないようにしてくれたんだし…」
「…まぁ、とりあえず、戻ろうぜ」
そう悟浄にも促され、三人で戻ることにしたのだった。