第43章 悟浄とのデート
そっと腕を回して頭をポンッと撫でる悟浄。
「…欲しいの無い?…あ、あるって言っても私買ってあげれないから……お願いは?」
「何言ってんの?」
「私に出来る事ならお願い聞ける!」
「…おいおい…」
「美味しいご飯が食べたいとか…マッサージとか……あとは…そうだな…」
「…なんでもいいの?」
「ん!!何かある?」
「…キスして?」
「…ご…じょ?」
「……フフ…クックッ…冗談だよ…エロなしって言ってんのにそんなこと言えるわけねえだろうが…」
「…ッッ…」
優しく笑う悟浄。外に目をやる悟浄に雅は袖をくいっと引っ張った。
「ん?」
次の瞬間、悟浄の唇の横には柔らかく温かな温もりが重なった。ゆっくりと離れると首に巻き付いた。
「そこでごめんね?」
「み…やび?」
「お誕生日おめでと…悟浄…」
「…ハァ…さんきゅ」
そうしてもうすぐゴンドラが下に着くと言う時、ゆっくりと離れた。
「お疲れさまでしたーー!!」
「…クス…元気の良いお兄さんだね…」
「だな」
「…帰る?」
「三蔵の女じゃなかったらなぁ…本来ならこのまま二人でどこかに入って、抱いて、抱き倒したいところだけど…」
「悟浄?」
「解ってるよ。帰るか。そろそろ猿も腹減ったとか言ってそうだし」
「そうだね…!言ってそう」
そういって宿に戻る。部屋に着くと不機嫌な三蔵が一人居るもののなんだか楽しそうな三人が二人の帰りを出迎えてくれた。
「おかえりーー!!」
「おかえりなさい。楽しかったですか?」
「うん!!」
「…おやおや」
「…おい、三蔵」
「……なんだ」
「今日は…サンキュな」
「二度はねえからな…」
「解ってるって…クスクス」
「めしぃぃぃぃぃ!!!」
「…だそうだ」
「チッ…」
そうして、夕飯と言う名の最後のパーティーの締めくくりが始まった。
「おい…俺ケーキ要らないっていったぜ?」
「誕生日にケーキなしの寂しいのはダメ!!」
「文句があんなら貴様は食うな」
「ひで!!」
「そーだそーだ!!」
「本当に要らないなら悟空が食べてくれるって!」
「…くう」
「はじめから素直に言ってれば良いものの」
「うっせえ」
「じゃ、始めますよ?」
そうしてわいわいとしながらも照れ臭そうな悟浄を皆で祝っていたのだった。