第5章 災難、そして心
「おや、相変わらずですね」
「…雅と一緒じゃなかったのか?」
「彼女なら悟空と街に行かせました」
「…ハッ…力を使いこなせるようになる!ってほざいてた割に、か」
「いえ、彼女、十分な力の使い手ですよ?」
「…どう言うことだ」
「僕の左腕、変ですか?」
「何言ってやがる」
「彼女に治して貰いました」
「………なるほどな。だから結界も知らず知らずに張れたと言う訳か」
「察しが早くて助かります」
「力のコントロールは出来てるから、そのタイプの見極めだけだってことか」
「えぇ。彼女は気付いていなかった様なので。結界が張れて、父親を勢い余って殺してしまって、でもあの優しさと柔らかい光……光と闇、どちらが強いのかって思っていましたけど。僕らと出会うまでに雅が知らず知らずにしてきたトレーニングでコントロールはできてますし、根本の優しさがありますから。」
「……フン」
「貴方も解っているんでしょう?三蔵」
「…うるせぇよ」
そう短く答えながらも、バサリと新聞で隠した表情は優しく緩んでいた。
一方その頃の悟空と雅…
「なぁな!雅!これみて!うまそう!」
「悟空好きなの?」
「旨い食い物ならなんでも!!!」
「そっかぁ!!買ってく?」
「皆の分も要るかな?」
「まぁ、買ってこうよ!」
そう話しながらも色々と買い込んでいく悟空。そんな時だ。少し離れた所でワァッと歓声が起きた。
「何?」
「行ってみる?」
そうして両手一杯に袋を抱えた悟空と一緒に歓声のもとに向かった雅。そこでは大道芸をやっていた。
「う…わぁぁぁあ!私初めて見た!」
「うぇーおあ!!」
「?何?」
「……すげぇよねって話!」
「ん!」
キラキラと目を輝かせている雅。そんな雅を手招きする女性がいた。
「?何か雅呼ばれてる?」
「…そぉみたい…」
「……?」
呼ばれるままに雅は大道芸の女性の元へと向かった。すると、グイッと手を引かれ、大道芸の中へと引き込まれる。
「えっ…あの…!悟空…っ!」
「がんばれー!!!」
「そんな…えっ?」
そのままキョロキョロ見渡していると大男は酒瓶を咥えた。口一杯に含むと火を持ってぶわっと吹き出す。