第40章 思いがけないコト
雅を買い物に着いて行かせた理由は、他にもあったのだ。袂から手のひらに収まるほどの小さなポーチを出すと三蔵は大きなため息を吐いた。
「ハァァァ…」
「どうした?三蔵」
「…なんでもねえよ」
「なんかねえの?たばこか?」
「それならあるよ。もしなくても貴様のは不味くて敵わんから要らねえ」
「あ、そうですか」
「……少し出てくる」
そう言うと三蔵は一人街に赴いた。どこに行けば買えるかなんてのは知っているものの、その店が見つからない。
「まさかとは思うが…ないのかよ…」
ダメもとで薬を売っている店の男性に声をかけた。
「おい、すまんが、雑貨を売っている店を知らんか」
「雑貨ですかい?お坊さんが使うような雑貨はこの辺りじゃないと思うがね……」
「そうか…」
「悪かったねえ」
そして三蔵はその店を後にする。しかし、三蔵が求めているのは坊主としての道具ではなかった。
「…たく……どうしたもんだ……」
そう。さっき宿で見ていたポーチの中身は、コンドームだった。抱きたくなる、といった手前、避妊具がないのでは抱けない……そう考えた。
「……つか、どこにもおいてねえのかよ…」
「さぁんぞ!!なにかお買い物?」
「…ッッ…雅…」
「なんだよ、三蔵も来るなら一緒にこれば良かったじゃん。別行動しなくてもさ」
「それもそうですね。三蔵は何をお買い求めに?」
「たばこが切れた。」
「この間カートンで二つもかったばかりでそんなに早く切れるわけないでしょう?」
「…チッ…」
「本当は何買いに来たんだ?三蔵?」
「……なんでもねえよ」
「雅?悟空とあそこの屋台でお土産、見てきてください?」
「やりぃ!八戒!!雅、ほら行こうぜ!!」
「うん…」
「心配しなくても大丈夫ですから」
「わかった。」