第39章 疑問と本音
そういう三蔵に視線を送ったまま悟浄の頭にはクエスチョンが着いた。
「いつだったかにも言ったが。俺たちは追ってる身の様で追われてんだ。明日にでも死ぬかもしれねえ。そんなときに『いつか結婚しよう』なんて約束できねえだろうが。もし俺たちが死んだとして…その約束にあいつが囚われて身動き取れなくなるのが目に見えてる。」
「……死ぬかもって、死なねえだろうが」
「死ぬつもりは毛頭ねえよ」
「だったら。」
「それでも生きてる間には思いがけないことだってある。もし仮に囚われるって言うなら、あいつじゃなくて俺であればいい…」
「三蔵……お前って…」
「なんだ」
「どんだけ雅に惚れてんの?」
「うるせえよ」
「雅の事になると後先見えなくなるもんな。あ、あと悟空な?」
「…悟空がどうした。」
「雅と悟空にたいしてはめちゃくちゃ甘いの、気付いてねえの?」
「甘やかしてるつもりはねえよ」
「あーーさいですか」
「下らんな」
「……それは悪ぅございましたね」
「…フン」
そうして二人の間に沈黙が訪れる。
「なぁ三蔵?」
「やかましい」
「…いや、何でもね」
「だったら呼ぶな」
「へーへー」
そのまま二人はたばこをふかしながらも買い物に出かけた三人を待っていた。
「…おい」
「んー?」
「用がないならさっさと自分の部屋戻れ」
「いいじゃんたまには、さ?」
「気持ちわりぃな」
「まぁまぁ。」
まだかまだかと待ちながら、ちらりと三蔵の横顔を盗み見ている悟浄。
「……」
「…言いたいことがあるなら言え」
「ん、雅はなんでこんな生臭坊主が好きなんかナァって思ってみてた」
「余計なお世話だ」
クツクツと喉をならして悟浄はふっと笑っていたのだった。