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凜恋心【最遊記】

第39章 疑問と本音


そう言いながらも腕を一切緩めようとしなかった。

「……どうかした?」
「どうかした、じゃねえよ…」
「……?部屋割りとか…決めなくてよかった?」
「俺と一緒じゃ不満か?」
「そうじゃなくて……でも」

その言葉を聞いた三蔵はいきなり腕を離すとふいっと背中を向けた。

「さ…んぞ?」
「嫌なら誰かと変わってもらえば良いだろう…」
「あの…!」

ドアノブに手をかけた三蔵の背中から今度は雅が巻き付いた。

「嫌だったんじゃないのか?」
「……嫌なんて…言ってない…」
「じゃぁなんだよ!」
「久しぶりで……緊張しただけ…」
「……雅」
「嫌じゃない…三蔵と二人っきりは…嬉しいよ?」
「……ハァ…」

前に回る腕にゆっくりと手のひらを重ね、指を絡める三蔵。

「……三蔵は?急にどうしたの…?」
「……ずっと…」
「ずっと?」
「いや、何でもねえよ」
「なに?聞きたい…」
「…抱き締めたかった…それだけだ…」

そう言い終わると雅の腕を緩め、体の向きを変えるとそっと抱き寄せた。

「三蔵?」
「なんだ」
「……ううん、何でもない…」

そっと三蔵の背中に腕を回すと巻き付いた雅。ふっと優しく笑うかのように口許を緩めると体を離した。

「…いきなり悪かったな…」
「…三蔵?どうしたの?」
「それよりも、八戒達と買い出しいくんだろう?」
「でも…」
「早く行け…じゃないと今すぐ抱きたくなるだろうが……」

そう言われた雅。三蔵と一緒にいたい、でも八戒との買い物の約束もある。

「…私はどっちを選ぶのが正解?」
「好きにしろ」
「……じゃぁ…」

袖の袂をきゅっと握るとぽすっと胸元に凭れた。
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