第4章 決心
「あの時、一緒に来いと差し出してくれた三蔵の手…」
そこまで言うと、三蔵もまた、雅をじっと見つめる。その瞳は、雅の目の奥までも見透かすように射貫くほどの眼圧を持っていた。しかし、そんな圧に雅も怯むこと無く続けた。
「だから…まだ、有効なら…あの時、守るって言ってくれたことまだ有効なら…!!つれてって…」
「いつか死ぬぞ」
「それでも良い…それに死なない」
「…ほう?力もまともに使いこなせねぇ奴が…」
「八戒に教えてもらって少しでも早く使えるようにする!」
「そんな甘い考えじゃ死ぬっつってんだろうが。」
「…でも、三蔵が守ってくれるんでしょ?」
そう言いきった雅。その目差しにはもう迷いはなかった。
「…たく、解った。」
「ほんと?!」
「まぁな、俺が居て死なせる訳ねぇしな。」
「ありがとう!」
「ハァ……たく。」
その答えを聞いて安堵した雅の前にすっと立ち上がると、三蔵は懐から包みを差し出した。
「…ほら。」
「え?」
「行く先々で迷子になられたら迷惑だ」
「…えと」
「気に入らないなら捨てろ」
そう言い雅の手の中に無愛想にもいれた三蔵は椅子に座り直して新聞に目を落とした。
「開けて良い?」
「いちいち聞くな、好きにしろ」
その答えを聞いて雅はゆっくり包みを開けると、中からネックレスが出てきた。
「三蔵、いいの?もらって…」
「言ったはずだ、要らなきゃ捨てろ」
「要る…大事にするね!ありがとう!」
「……チ、それくらいにしておけ」
「え?」
「外の連中が気になって仕方ねえ」
「…ふぇ?」
キョロキョロ見渡し始めて時期に、出入り口の扉がガタンと開いて、悟浄と悟空がなだれ込むようにして入ってくる。その後ろから飄々と立つ八戒の姿もあった。
「み…んな」
「あぁあ、バレちゃった」
「始めから知ってんだよ、バカ猿が」
「俺だけじゃねぇよ!悟浄がぁ!」
「てめっ…人のせいにすんのか!?」
「妖怪だろ!」
「いえ、悟空?半分は人ですよ?…って聞いてませんねぇ。」
「…うるせぇ」
そんなわいわいした空気のなか雅はペコリと頭を下げた。
「これからも、よろしくお願いします!」