第4章 決心
「いらっしゃい!」
「部屋を…」
「五部屋は空いてないんですがねぇ。一部屋にベッド二つずつが二部屋なら…」
「構わん。それで良い」
「ちょっと三蔵、それじゃ足りねぇじゃんよ!」
「俺はベッドで寝る後の奴らは勝手に決めろ」
「はぁぁぁ?」
「俺もベッドー!」
「えと、四つならあるんですよね?」
「あぁ、そうだよ?」
「なら私別のとこに泊まります!近くに別のお宿ありましたし!一部屋だけなら空いてるかも…」
「…好きにしろ」
「ね?皆疲れてるだろうから…」
「でもみやび、心配です」
「あたしも心配だねぇ」
「あ、じゃぁお布団って借りれますか?」
「え?あぁ、あるよ?」
「一組お借りしても…」
そうして雅は同じ宿に泊まることに。ベッドで用意が出来なかったと言うこともあって雅分は半額にして貰えたのだった。
まだ眠るには早く、夕飯前の時刻。雅は三蔵の居る部屋に向かった。
コンコン…
『どうぞ?』
中からは八戒の声が聞こえた。
「あの…三蔵?」
「…なんだ」
「今日は服、ありがとぉ」
「別に、俺が一緒に買いに行った訳じゃねぇ。」
「あの…ね、話があって」
「なんだ、さっさと話せ」
「…あ、じゃぁ僕出てますね?」
そういって八戒は気を利かせるかのように部屋を後にした。残されたのは雅と三蔵の二人きり。それでも話すと決めた雅は一つ深呼吸して三蔵の前に立つ。
「あの、三蔵。」
「なんだ、」
「昨日話してたこと…着いていくかどうかって…」
「…あぁ」
「私、一緒に行っても良い?」
「妖怪共に囲まれてか」
「たしかに…始め聞いた時には怖くないって即答できなかった。でも、私…自分の居た村に居るときからの事考えてみたの、初めて会った悟空も、泣いてる時に来てくれた悟浄も、今日の八戒も…皆優しかった。それこそ、妖怪と言うよりもあったかい人間みたいに思えた。」
「でもあいつらの中の『血』は妖怪だ。」
「でも!…それでも私には嬉しかった。力をみてもきれいだって言ってくれた悟空も!泣きそうな時になにも言わずに傍に居てくれた悟浄、今日だけじゃない、昨日も欲しかったことを的確にアドバイスくれる八戒、…それに、」
じっとまっすぐに三蔵を見つめて迷い無く雅は言った。