第36章 欲望の果て
そう言われるも、迷いに迷っている雅。三蔵の元に戻りたい…でも、今、あの視線に耐えられそうにもない…ましてや、昨日の行為が嘘を紛らすためのカモフラージュと思われた……全てがぐるぐると回っている。
「悟浄……」
「ん?」
「悟浄の優しさに…甘えてごめんね」
「いい女に甘えられんのは俺、嬉しいけど?」
「……ッッ…」
ぽすっと凭れ、おずっと悟浄の背中に腕を回す雅。服を掴み、腰に巻き付いてくる。
「雅…?」
「悟浄…」
「そんなことされたら流石の俺も我慢できねえかもよ……?」
「…いい…よ」
そう言う雅の返事に悟浄は一瞬耳を疑った。ピタリと抱く腕をほどき、引き寄せてベッドの上に雅の体を転がす。ギシリと音を立てるベッドに乗り、悟浄は上から雅を見下ろした。
「…後悔しても…知らねえよ?」
「……ッッ…」
「逃げるなら…今のうちだけど…?」
そういう悟浄の言葉にギュッと目を閉じ首を小さく左右に振る雅。そんな相手にゆっくりと顔を近付ける。
「……やーめた」
しかし寸での所で悟浄は上体を起こした。
「ごじょ……ぉ」
「三蔵の事忘れようとしても無理だって。それに腕ん中で他の男思い浮かべられたままってのはちょっと傷つくわ」
「……ごめん…」
「焦るなよ…こんな事しても三蔵との溝深まるばっかだろうが」
「……悟浄…」
「キスされんのも、抱かれんのも、全部三蔵がいいって顔してんのに。まぁ、本気で雅が三蔵の事忘れたいって言うなら、俺も一晩かけてじっくりと抱くけど?どうする?」
「……ッッ…」
「答えなんてひとつしかないだろうが…迷うなよ…」
「ご…じょぉ…」
「ほら、三蔵待ってんぞ?」
「……待ってないかも…」
「あーー、クスクス、また追い出されたら俺んとこおいで。いっくらでも雅なら大歓迎だからさ。」
そういって服を整え、雅を送り出した。
「なぁにやってんだか…完全合意で雅の事抱けたんじゃね?今…」