第36章 欲望の果て
そう呟いていた。
悟浄の部屋から出てきた雅は三蔵の部屋の前で立ち尽くしていた。
「……どぉしよ……」
なかなかノックも出来ない、扉を開けることなんてもっての他と言わんばかりに足がすくんで動けない。両手は緊張から冷えてくる。
もし拒絶されたら…
怒鳴られた方がまだマシって位に冷たかったら…
あきれられたら……
キ ラ ワ レ タ ラ … … ・・・
どれも自分の撒いた事と解っていても三蔵に嫌われたらと考えるだけで身体中の力が抜けていく…感覚が麻痺し、どうして良いのかすらまともに思考が回らない。そんなことを考えていた時だ。
ガチャ…
「え…?!」
「…っと…てか…何やってんだ、人の部屋の前で…」
「あの…三蔵…」
「ここで良いのか?」
「え…?」
「さっさと入れ」
そう言うものの、三蔵は部屋から出ようとする。
「あの…三蔵!」
「話なら後で聞く。トイレ位行かせろ」
そういって出ていった。戻ってこなかったら…そう考えてしまうものの、俯いてその場から動けなくなっていた。時期にガチャリと扉は開く。
「てか、何そんなとこ突っ立ってんだよ、邪魔だ、退け」
「あ…うん……ごめん…」
「…それで?」
「え…」
「話があるんだろ。さっさと話せ」
「……あの…」
「話がないなら出てけ。」
「ある!…話……ある」
「…ならさっさと話せって言ってんだろうが」
そうぶっきらぼうにも取れる三蔵の言葉。カチッとライターを出し、たばこに火を付ける。