第36章 欲望の果て
「少しは落ち着いたか?」
ベッドの上で泣きじゃくったままの雅を抱き寄せながらも、悟浄は優しく聞いていた。小さく頷く雅をみてゆっくりと頭を撫でる。
「俺、三蔵の所ちょっくら行ってくるわ」
「今三蔵…かなり荒れてるよ…」
「だから行かなきゃいけねえだろうが」
「もう少し……傍にいて…」
「雅…」
「ズルいこと…調子の良いこと言ってるの…解ってる……でも…」
「すぐ戻ってくるから」
珍しく甘えてくる雅に悟浄はグッと息を飲むものの笑顔を取り繕った。
コンコン
「入るぜ?」
「良いと言った覚えはねえよ」
「言われた覚えもねえや…」
「どの面下げてきた。」
「…雅の事さ。」
「なんだ、言い訳にでも来たのか」
「言い訳なんかしねえよ。」
そういうとドアに凭れたまま悟浄は続けた。
「雅が何て言ったか、あの春叡がなんて三蔵に言ったか…俺にゃわかんねえけど?昨日の相談されたことは聞いたんだろ?」
「……あぁ」
「内容が内容だけに雅もなかなか切り出せなかったわけ。廊下だと結構人来たし?」
そう話し続ける悟浄の姿をじっと見つめる三蔵。