第35章 初めての喧嘩
「…ック…ヒック……」
そんなところに一足先に戻ってくる悟浄に見つかった雅。
「あれ、三蔵と一緒に……って」
「ごじょ…」
「はぁ、何やってんだよ…全く…」
そう呟きながらも自身の部屋に連れ込んだ。
「何そんなに泣いてんの…」
「悟浄……ぉ」
「ん?」
「……三蔵と…喧嘩した」
「はぁ?なんでまた…」
「昨日……ヒック…の事…エック…春叡さんにみられてて…ヒック…それさっき聞いたみたい……で」
「で、喧嘩?」
小さく頷く雅。はぁっと大きなため息を吐きながら雅に巻き付かれるがままにしていた。
「雅?三蔵になに言われたわけ…」
「春叡に…抱き合ってるのみられたけど本当かって…違うって言っても…お前が嘘吐くときは両手握りしめるって……でも違うって言ったのに…そんなに悟浄守りたいのかって……」
「ハァァ…俺のせい?」
「違う…私が…はじめからちゃんと言わなかったから…三蔵怒らせちゃった……」
「いや、抱き締めたの俺だし。雅悪くねえだろうが…」
「でも……私…フラフラしてたから…」
そう言いながらも三蔵と喧嘩したことが受け止めれずにいた雅。そうやって泣く雅を、悟浄もまた、離せないでいた。