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凜恋心【最遊記】

第35章 初めての喧嘩


「本当に珍しいですね、三蔵、あなたがあれほどまでに一緒にいるなんて」
「あぁ、何か……な」
「でも、三蔵も人見知りするんだ」
「人見知りの塊だろうが、この坊主は」
「うるせえよ」
「ほら、片付けますよ?」
「おい、八戒」

そういって悟浄と雅に片付けを任せて八戒は三蔵に呼ばれ近付いた。

「何ですか?」
「…あの男、どう思う」
「あのって…春叡さんですか?」
「あぁ。」
「どうといわれても…、なかなか食えない人、だとは思いますが…」
「…俺たちが西に向かっていることを知っていた」
「おやまぁ」
「自分達が西側から来たから俺たちが西へ向かっているだろうと思ったといっていたが…」
「そういう割にはなんだか、違和感もありますね…」
「あぁ」
「…三蔵?他に気になることがあるんですか?」
「いや、…あとは…」
「あとは…?」
「俺の問題だな」
「つれないですね、いってください?」
「昨日の夜に悟浄が雅と抱き合っていたと言っていたが…」
「まさか」
「あぁ、確かに相談していたとは聞いたが、それ以上は無かったとも聞いているしな」
「…三蔵、大人になりましたね」
「うるせえよ」

そんなことを話していた。
その日の夕方にようやく悟空と水鐸は帰ってきた。すごく楽しそうに話をする悟空。なぜか夕飯も一緒に食卓を囲んでいた。

「なんだかいつにもまして賑やかですね」
「全くだ」
「…三蔵…?」
「なんだ」
「どうかした?」
「いや、何でもねえよ」
「…そう?」

雅の質問もそこそこに受け流した三蔵はもくもくと夕飯を摂っていた。そんな三蔵の様子をみていた雅は少し違和感を感じるもののこの騒がしさが故に、機嫌が悪いのかとも思っていた。

「三蔵…」
「なんだ」
「…」
「どうかしたのか」
「ううん…ごめん、何でも無い」
「…はっきり言え…」
「…なんでも無い」
「…チッ」

軽く舌打ちをするとガタンと席を立った三蔵。
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