第32章 二つのバースディ
「あ!悟浄!そっちのがでかい!!」
「うっせぇ猿!」
「まぁまぁ、僕のと交換しましょうか?」
「マジで!?」
「うるせえよ」
「んーー、うまい!」
「よかった」
「俺と八戒のお陰だからな!」
「うっせえ、猿!」
「猿って言うな!このゴキ河童!!」
「黙って食え」
「なんだよ!本当の事だろ?」
「てめえの誕生日はとっくに終わってんだろうが!!」
「でも雅が『うるせえっつってんだよ!!黙って食え!!!』……はぁい」
三蔵の一括で落ち着きを取り戻した二人をみて雅は八戒に聞いていた。
「どう?」
「美味しいですよ、本当にありがとうございます」
「よかった!」
「…フン……まぁまぁ」
「ほんと?よかった」
「おやまぁ」
「三蔵、全部食ってる」
「そりゃ雅の手作りだし?」
「甘党の三蔵には少し物足りなかったかも知れないけど……」
「構わん、俺のじゃねぇ。八戒と悟空のを分けて貰っただけだ」
そういいながらもビールに手が延びる三蔵。そのまま楽しい時間はゆっくりと、しかしいともあっさりと過ぎていくのだった。
食事も終わってのんびりとする時間に、雅と八戒は洗い物をしに向かっていた。