第32章 二つのバースディ
その三蔵の一言で落ち着いた。嬉しそうに笑いながらも雅は三人に『楽しみだね!』と笑っていた。
早いものでもう八戒の誕生日が明日に迫ろうとしていた。いくつかの街や村を抜け、妖怪に襲われながらも何て事なく過ぎてくる日々。あの時八戒が『いつかなんていってたら案外早いものですよ?』何て言っていたのが解るほどだった。
着いた宿で調理場を借り、小さなケーキを作り、準備万端といわんばかりの雅。お酒を買いに行き、食事も食事どころで無理言ってテイクアウトして貰った。両手一杯になりながらも、嬉しそうに運んでいる。
「ただいまぁ!」
「お帰り!」
「遅かったな」
「ちょっと色々みてて……」
「じゃぁ、そろそろ始めますか?」
「俺腹減ったぁ!!」
少し早めの夕飯予て誕生日会を始めた。といっても部屋でわいわいと食事をしながら、ケーキを食べる。簡単すぎるものだった。
「ごめんね…こんな簡単で…」
「何言ってるんですか」
「そうそう!俺まで祝ってくれてさ!俺スッゲエ嬉しいよ!」
「そうですね、本当に嬉しいです」
「おめでとう!八戒、悟空はかなり遅れちゃってごめんね?」
「いいんだよ!俺誕生日会とかって初めてだし!なんか嬉しいのな!」
「ん!……あ!ケーキ作ったの!」
「うそ!マジ?」
「待っててね!!」
そういいながらも厨房に向かい、雅は取りに向かっていた。嬉しそうにケーキを冷蔵庫からだし、宿主に礼を言って部屋に戻っていく。
「おめでとう!!」
「うわ!すっげえぇぇぇ!!!」
「本当に、嬉しいです」
「みてみて!俺の名前!!書いてある!」
「マジ器用だね、雅」
「そんなことないよ…教えて貰いながら作ったし」
「なぁ三蔵も!みて!これ!雅作ってくれたの!!」
「聞いてる」
「クスクス、じゃぁみんなで食べよ?」
そういって雅は借りてきた包丁で切り分けた。