第32章 二つのバースディ
「…ね、そうなると思ったんですよ」
「知らなかった。……どうしよう」
「まぁ、知っていたとしても雅と出会ったのはもう既に誕生日過ぎた後でしたけどね?」
はははと笑う八戒。しかし、どこか嬉しそうに八戒を見上げていた雅。
「お誕生日会!やろうよ!!」
「はい?」
「悟空にはすごく申し訳ないけど、大分遅れちゃってごめんねって…今年は二人一緒に!!」
「あー、気持ちは嬉しいんですが…」
「…解ってる…」
「え?」
「お誕生日祝う気持ちになれないことは…お姉ちゃん、思い出しちゃうもんね…でも…八戒には笑っていて欲しいから…」
「雅…」
『悟能…悟能?私、あなたの笑ってる顔好き。笑っててね?』
「…花喃」
「?八戒?何か言った?」
「いえ、やりましょうか、お誕生日」
そう笑っていっていた。宿に戻ると雅は嬉しそうに待っていた三人に伝えた。
「…・・・だからね?今度、八戒の誕生日の時に悟空も一緒に二人の誕生日パティーをしたいと思います!!」
「何なんだ、いきなり」
「なぁ雅?この猿と八戒をやるってことは俺もやってくれんの?」
「キュウリパーティー?」
「なんでキュウリだよ!」
「クスクス、冗談。悟浄もやろうね!」
「で、僕らの最後は三蔵と雅ですね」
「え?」
「何だぁ?やっぱり三蔵と一緒じゃ嫌なんじゃね?」
「そうじゃなくて…私が勝手にやろうっていってる訳で…だとしたら三蔵で終わりだよ?」
「ブ…ははっはは!!」
「悟浄、笑いすぎですよ?」
「ひーっひひひ、……はぁあ…だったらさ?雅のは俺等主催でいいんじゃねぇの?」
「…え?」
「何、そのマヌケ面」
「…マヌケじゃないもん!」
「いいんじゃねえの?」