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凜恋心【最遊記】

第31章 泣けない理由


「僕、少し様子見てきます」
「俺も!」
「てめえはちょっと待ってろ」
「何でだよ!三蔵心配じゃんか…!!」

そう言われて八戒は悟空も一緒に連れていった。

コンコン

「雅?入りますよ?」

そう断って八戒は扉を開けた。

「雅、三蔵は?」
「まだ……」
「雅……三蔵の付き添い…変わろうか?」
「大丈夫だよ、悟空」
「でも…雅…力使ってるし…」
「大丈夫。」
「そっか…」
「ありがとうね?悟空…そばにいてあげたいから…」
「俺も解るんだけど……」
「じゃぁ悟空、僕少しだけ雅と話していくので…」
「解った……雅も少しは休めよ?!」
「ん、ありがとう、悟空もね?」

そういうと名残惜しそうに悟空は部屋を出ていった。

「さて……」
「…どうかした?八戒」
「いえ…」
「…?私なら大丈夫だよ?」
「雅、知ってますか?大丈夫って言う言葉は、大丈夫じゃないときに限ってあなたの口からよく聞くんですけど?」
「……そんなことないよ?本当に大丈夫だから大丈夫って…」
「泣くことも出来ない状態で、ですか?」
「…ッッそれは…」

そういうと雅は少しだけ俯いていた。

「私……なにも出来なかったから…」
「雅?」
「三蔵戻ってきた時…近寄ることも出来なかった…悟空が支えてくれて…治すことだって……八戒に助けてもらって……三蔵の事抱き抱えることだって…て出来なくて…私…傷ついた三蔵の事…なにも助けられなかった…」
「そんなことありませんよ?」
「……フルル…」

小さく首を振る雅。きゅっと膝の上で手を握りしめて雅は唇を噛んでいた。

「あなたは、三蔵を助けたじゃないですか」
「でも……それは八戒の手助けがあってこそだもん。私だけじゃない…」
「……雅…」
「八戒…前に言ったよね…?白明ちゃん助けられなかったときに『あなたの命を削ってまでも助けたい人ですか?』って…今回は本当に思った。でも…八戒が変わってくれて…中途半端で…本当に…」
「その位に…ッ…しておけ」

そうポツリと呟いたのは意識が戻った三蔵だった。
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