第31章 泣けない理由
荷物を回収しに宿に戻り、そのまま街を出ようと決めた。ジープに乗る前に、雅は三蔵の治癒に回る。しかし雅の様子がおかしいことに気付いた悟浄はジープに乗り込んだ後、問いかけていた。
「…雅?どうした」
「…なんでも無いよ?」
「そうは見えないけど?」
「大丈夫だよ!大分力の使い方も解ってきた頃だったし」
そう言って笑いかけていた。
「あ…悟浄、ごめん、場所、今だけ変わってもらってもいい?」
「んぁ?別にいいけど…」
そういうと悟浄と雅は場所を変わる。変わったからと言ってなにかあるわけでも無いのだが、雅はジープに凭れたままでじっと外を見ていた。
「なぁ八戒?次の街までどのくらい?」
「街までは結構ありますが、村でしたら時期に着くと思います。ただ、この村を過ぎると相当次まで距離がありますから…しっかりと体力を戻さないと…少しは滞在することになると思いますが…」
「そっか…三蔵…大丈夫かな…」
「そりゃ、雅と八戒が治してるんだから?大丈夫だろ…」
しかしそんな会話にも三蔵はもちろん、雅も入ってくることはなかった。休憩もそこそこにして、三蔵の体も考慮し、ジープを走らせた八戒。夜明け前に出たこともあって、夕方には次の村に入ることが出来た。
「悟浄、すみません、三蔵の事頼めますか?」
「あぁ。」